『子どもの自己肯定感』を高めるエビデンスベースドな方法

日本の子どもたちは、自己肯定感が低い。

例えば、内閣府の調査(2023年)によると、

「私は、自分自身に満足している」という質問項目
日本:約45.1%
韓国:約73.5%
アメリカ:約86.9%
イギリス:約80.0%
ドイツ:約81.8%
フランス:約85.8%
スウェーデン:約74.1%

「自分には長所があると感じている」という質問項目
日本:約62.3%
韓国:約74.2%
アメリカ:約91.2%
イギリス:約87.9%
ドイツ:約91.4%
フランス:約90.7%
スウェーデン:約72.7%

「自分は役に立たないと強く感じる」という自己有用感の項目
日本:約51.8%
韓国:約50.8%
アメリカ:約55.2%
イギリス:約56.5%
ドイツ:約31.7%
フランス:約39.4%
スウェーデン:約37.0%

これらの数値から、日本の若者は自己肯定感、つまりは「自分自身に満足している」や「自分には長所がある」と感じる割合が、特にアメリカや欧州諸国と比較して低いことが示されています。また、自己有用感に関しては、国内外で大きな差はないものの、日本の場合は自己有用感が低い若者ほど自己満足度も低い傾向が見られる点が特徴的です。

自己肯定感は、子どもが自信を持ち、新しいことに挑戦し、社会に積極的に参加するための重要な基盤です。家庭で実践できる具体的なアプローチを取り入れることで、子どもの心の成長をサポートすることが可能です。

ここでは、科学的根拠に裏打ちされた9の方法を、具体的な事例や実践例とともに紹介します。これらの方法は、実際の調査結果や著名な学者の研究に基づいており、なおかつ日常生活に取り入れることができるものです。

1. 「あなたは大切な存在」と伝える(Diener & Seligman, 2002)

親が子どもに「あなたは大切な存在だよ」と伝えることは、自己肯定感を高める基本中の基本です。ディーナーとセリグマンの研究では、親からの愛情が子どもの幸福感や社会的成功に大きく寄与することが示されています。

家庭内で愛情表現が豊かである子どもは、学校や友人関係でも自信を持って行動できる傾向があります。日常的に「大好きだよ」と、具体的な言葉で愛情を伝える習慣を身につけることで、子どもの安心感と自信が育まれます。照れくさいと感じる方も多いかもしれませんが、これを本気でやっている家庭は親子共に自己肯定感が高いです。

2. ほめるのは「結果」より「努力」(Dweck, 2006)

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授は、子どもの成長において「固定的思考」よりも「成長マインドセット(努力で人間は変われるという考え)」を育む重要性を説いています。結果だけでなく、努力や工夫に対してほめることが、子どもが挑戦を恐れずに新たなことに取り組む原動力となります。たとえば、テストの点数ではなく、毎日の勉強に取り組む姿勢や、困難に直面しても粘り強く取り組む姿を具体的に認めることで、子どもは自らの成長を実感できます。

3. 失敗しても大丈夫な環境を作る(Gunderson et al., 2013)

シカゴ大学の研究では、子どもが失敗を恐れず挑戦できる環境は、親の温かいサポートがあってこそ実現することが分かっています。失敗を「恥」として捉えるのではなく、「成長のチャンス」として受け入れる姿勢が大切です。

たとえば、子どもが何かに挑戦して失敗したとき、「裏を返せば、ここからはもう上がるだけ」などと励ますことが、子どもに安心感と挑戦する勇気を与えます。また、親自身が失敗を経験し、その経験から学んだエピソードを共有することも、子どもにとって良いお手本となります。

4. スキンシップを増やす(Feldman, 2017)

イスラエルのフェルドマン教授の研究によると、親子間のスキンシップ(ハグや手をつなぐこと)は、子どもの安心感や信頼感を高め、結果として自己肯定感の向上につながります。朝の「いってらっしゃいハグ」や、寝る前の「おやすみタッチ」など、日々のふれあいは、子どもに無条件の愛情を感じさせ、情緒の安定を促します。

これにより、子どもは自分の存在価値を自然に認識し、周囲と積極的に関わる力が育まれます。スキンシップを意識的に増やすことは、子どもの精神的な健康を守るための基本的な手法です。

5. 「できたことリスト」を作る(Emmons & McCullough, 2003)

カリフォルニア大学のエモンズとマカローによる研究では、感謝の気持ちがポジティブな感情を増幅し、自己肯定感を向上させる効果が示されています。毎日の小さな達成を見逃さずに「できたことリスト」を作成することで、子どもは自分の成長を具体的に感じることができます。

例えば、「朝早く起きられた」「宿題を最後までやった」「家族で笑顔になれた」など、どんなに小さな成功でもリストアップし、後で一緒に振り返ることで、子ども自身の努力や成果を再確認することができます。これが大変なようであれば、寝る前にできたことを少しふりかえってみるだけでもいいでしょう。

6. 親自身が自分を大切にする(Bandura, 1977)

アルバート・バンデューラのモデリング理論によれば、子どもは親の行動を真似して学ぶため、親が自分自身を大切にする姿勢は、子どもの自己肯定感に直接影響を与えます。親が趣味や休息の時間を設け、自分の感情や体調を大切にすることで、子どもは「自分も大切にすべきだ」と学びます。

たとえば、家族でリラックスできる時間を共有し、親が自らの失敗や成功を話すことで、子どもは自分の存在価値を自然に認識し、前向きな生き方を学ぶことができます。

7. 生活リズムを整える(Ratey, 2008)

ジョン・レイティ医師の研究では、適度な運動と規則正しい生活が脳に良い影響を与え、子どもの情緒や前向きな思考をサポートすることが明らかになっています。朝日を浴びること、毎日20分の運動、そして十分な睡眠は、子どものストレス軽減や集中力向上に寄与します。

これにより、子どもは日々の生活で自己管理能力を身につけ、自信を持って新しい挑戦に取り組むことができるようになります。規則正しい生活は、自己肯定感を根底から支える大切な要素です。

8. 友達とのつながりを大切にする(Harter, 1999)

心理学者スーザン・ハーターの研究によれば、子どもが友達との良好な関係を築くことは、自己肯定感の向上に大きな影響を及ぼします。学校や遊びの場で友達と協力し、意見を交わす経験は、子どもが自分の存在価値を実感するための重要なプロセスです。

親は、子どもが友達との関係で悩んだときに「同じことが起きないように対策を考えよう」と一緒に考え、解決策を見つけるサポートをすることが求められます。こうした対話が、子どもに安心感を与え、自己評価を高める効果をもたらします。

9. 子どもの話を最後まで聞く(Gordon, 1970)

ゴードン・メソッドに基づく研究では、親が子どもの話を最後まで丁寧に聞くことが、子どもの自己肯定感を大いに向上させると示されています。子どもは、自分の意見や感情が尊重されると感じると、自然と自信を持ち、自己評価が高まります。

具体的には、子どもが話している最中に遮らず、十分な関心を示して「そうだったんだね」「それでどう感じたの?」と問いかけることで、子どもとの信頼関係が深まり、安心して自己表現できるようになります。

まとめ

子どもの自己肯定感を育むためには、家庭での日々の実践が何よりも重要です。内閣府や各研究機関のデータが示すように、愛情豊かな言葉と具体的な行動、そして親自身の生き方が、子どもの心の土台を支えます。

子どもが自分の価値を見出し、前向きに生きるための環境を整えていきましょう。今日から、ぜひこの方法を取り入れて、子どもの心に寄り添いながら、豊かな成長を促していってください。

これからもこのような、エビデンスベースドな子育ての情報をお伝えしていきますね!

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